3Dプリント用3Dモデルの作り方:3Dデザインを学ぶステップ別ガイド

チュートリアル10 Dec 2024

3Dプリント用3Dモデルの作り方:3Dデザインを学ぶステップ別ガイド

3Dプリント用の3Dモデルをどう作ればよいのか分からず、戸惑うこともあるでしょう。特に3Dデザインを始めたばかりなら、なおさらです。

素晴らしいアイデアがあっても、それを実物にするまでの道のりは、地図なしで迷路を進むように感じることがあります。

どこから始めればよいのか、モデルが3Dプリントできる状態になっているかをどう確認すればよいのか分からないことは、初心者だけでなく経験豊富なデザイナーにとってもよくある壁です。

でも、ご安心ください。このガイドがその悩みを解決します。3Dモデリングを習得するために必要なことをすべて学べます。 

最後まで読めば、3Dプリント用の3Dモデルの作り方が分かるだけでなく、どれほど複雑なプロジェクトでも自信を持って取り組めるようになります。

3Dプリントにおける3Dモデル設計の重要な役割

3Dモデルを作成する技術は、幅広い業界で欠かせないものとなっています。

急速に成長している3Dプリント分野では、自分でモデルを設計できることは単なるスキルではなく、競争上の強みになります。3Dプリント用の3Dモデルを作成できれば、既製のデザインだけに制限されません。

カスタマイズや新しい発想を形にし、独自のアイデアを実現できます。この能力は、単発のプロトタイプを製作する場合でも、オーダーメイドのジュエリーを作る場合でも、複雑な機械部品を開発する場合でも重要です。

医療、自動車、航空宇宙などの業界では、高精度で機能的な3Dモデルを作成できることが、製品開発や製造プロセスに変革をもたらしています。

たとえば、3Dプリント技術の進歩により、患者一人ひとりに合わせたカスタム医療機器や義肢が現実のものとなっています。消費財の分野でも、3Dプリントのカスタマイズ性を背景に、スマートフォンケースからファッションアクセサリーまで、パーソナライズされた製品の人気が高まっています。

ただし、その出発点となるのは、機能するだけでなく、3Dプリント工程にも最適化された3Dモデルの作り方を理解することです。このガイドでは、成功するために必要な知識とツールを紹介します。

3Dプリントの一般的な活用例:設計スキルが重要な理由

3Dモデルのコレクション

3Dプリント用の3Dモデルを作成する技術的な詳細に入る前に、このスキルが特に役立つ一般的な活用例を見ていきましょう。3Dプリントの用途を理解することで、具体的なニーズや要件に合った、より良いモデルを設計しやすくなります。

プロトタイピングと製品開発

3Dモデルのプロトタイピング

撮影: Jakub Żerdzicki 、掲載: Unsplash

3Dプリントは、プロトタイピングの工程に変革をもたらしました。エンジニアやデザイナーは、実物のプロトタイプをすばやく製作し、現実の環境で設計を検証できます。この工程により、従来のプロトタイピング手法にかかっていた時間とコストを大幅に削減できます。

  • 実例。 新しい製品を設計していて、複数のバージョンを試す必要があるとします。3Dプリントなら、実物のプロトタイプをすばやく作成し、テストして、設計を改善できます。しかも数週間ではなく、わずか数日で一連の作業を進められます。

カスタムジュエリーとアート作品

3Dプリントを活用すれば、従来の製造方法では実現できない、または非常に高額になるような、複雑でオーダーメイドのジュエリーデザインをアーティストやデザイナーが制作できます。特に一点物の作品を作る際に、この能力は大きな価値を発揮します。

  • 実例。 ジュエリーデザイナーは3Dプリントを使って、従来の鋳造技術では作るのが難しい複雑な格子構造や、有機的な形状を制作できます。

エンターテインメントとメディア

映画やビデオゲーム業界では、精巧なモデル、小道具、セットの制作に3Dプリントが使われています。設計をすばやく試作して修正できるため、クリエイターはより速く、より正確にイメージを形にできます。

  • 実例。 映画スタジオでは、3Dプリントを使ってリアルな小道具やセットデザイン用のミニチュアモデルを制作できます。必要に応じて、すばやく調整したり複製したりすることも可能です。

産業用ツールと製造

産業用途では、製造工程に欠かせないカスタムツール、治具、固定具の製作に3Dプリンターが使われています。これらのツールには高い精度と耐久性が求められ、製造現場の厳しい使用条件に耐えられる必要があります。

  • 実例。 製造企業では、特定の生産ニーズに合わせたカスタムツールを設計して3Dプリントすることで、効率を高め、コストを削減できます。

医療機器と義肢

3Dプリントの中でも特に大きな影響をもたらしている用途の一つが医療分野です。患者一人ひとりに合うように、カスタム義肢や医療機器を設計できます。この個別対応によって、快適性、機能性、治療結果の向上につながります。

  • 実例。 義肢装具士は、患者の身体構造に完全に合うカスタム義肢を設計して3Dプリントでき、快適性と使いやすさを向上させられます。

こうした活用例を理解すると、プロトタイプ、アート作品、機能的な医療機器など、プロジェクト固有の要件を満たす3Dプリント用3Dモデルの作り方を学ぶ重要性が分かります。

ステップ別ガイド:3Dプリント用の3Dモデルを作成する方法

3Dプリント用の3Dモデルを作成する詳しい方法を見ていきましょう。ここでは、アイデアを形にするまでの手順をステップごとに解説します。

明確なコンセプトから始める

3Dプリント用モデルを設計する最初のステップは、明確なコンセプトを持つことです。ツールやプロトタイプなどの機能的なものでも、彫刻やジュエリーのような芸術的なものでも、最初にコンセプトを決めておくことで設計を進めやすくなります。

スケッチする。 設計ソフトを開く前に、まずアイデアを紙に描いてみましょう。完成品をイメージしやすくなり、サイズ、形状、素材などの重要な要素を検討できます。絵が得意でなくても問題ありません。簡単なスケッチでも、設計の方向性を決めるには十分です。

用途を明確にする。 モデルの用途を考えてみましょう。機能性を重視するのか、装飾を目的とするのか、それとも両方でしょうか。用途によって、素材の選択や構造的な強度など、設計上の判断が変わります。

プロのヒント。 アイデアの参考にしたい場合や、出発点として使える高品質なモデルを探している場合は、 Pixup3Dをチェックしてみましょう。さまざまな3Dモデルをダウンロードできます。

適切なソフトウェアを選ぶ

3Dモデルを設計している女性の写真

画像:DC Studio、掲載: Freepik


3Dプリント用モデルをうまく設計するには、適切なソフトウェアを選ぶことが重要です。ソフトウェアによって対象となるスキルレベルや設計用途が異なります。代表的な選択肢を紹介します。

Tinkercad。 初心者に最適で、ドラッグ&ドロップ操作に対応した使いやすいブラウザベースのプラットフォームです。シンプルなモデルの作成や、3Dデザインの基礎を学ぶのに適しています。

SketchUp Free。 こちらもブラウザベースのツールです。作成した3Dモデルをクラウドに保存できるため、複数のデバイスから簡単に設計データへアクセスできます。

Fusion 360。 より高度な選択肢で、ダイレクトモデリングとパラメトリックモデリングの両方に対応したプロ向けツールです。複雑な機械設計の作成に適しています。

Blender。 従来型のCADツールではありませんが、アニメーターやゲームデザイナーに人気の高機能なオープンソースソフトウェアです。特に有機的な形状や芸術的なデザインの作成に役立ちます。

SolidWorks および Autodesk Inventor。 プロのエンジニアやデザイナー向けの業界標準ツールです。製造に対応できる高精度なパラメトリックモデルを作成するための高度な機能を備えています。

ソフトウェアを選ぶ際の主なポイント:

使いやすさ。 初心者にとって、使いやすさは非常に重要です。TinkercadやSketchUp Freeのようなツールは直感的に操作できるよう設計されており、3Dモデリングの経験がなくても扱いやすくなっています。

機能。 複雑な部品や機械部品を設計する場合は、Fusion 360やSolidWorksのように高度なモデリング機能を備えたソフトウェアが必要です。

コスト。 一部のプロ向けツールは高額です。ただし、Fusion 360のホビーユーザー向け無料ライセンスのように、非商用利用向けの無料版を提供しているものも多数あります。

3Dプリントを考慮して設計する

3Dプリント用モデルを設計する際は、3Dプリンター固有の要件や制約を考慮することが不可欠です。画面上で見栄えのよいデザインが、必ずしも問題なく3Dプリントできるとは限りません。覚えておきたい主な設計原則を紹介します。

壁の厚さ。 モデルの壁は、十分な耐久性を確保できる厚さにしてください。ただし、必要以上に厚くすると、素材を無駄にしたり造形時間が長くなったりします。目安として最小1-2 mm程度ですが、素材や3Dプリンターによって異なる場合があります。

オーバーハングとブリッジ。 3Dプリンターは、支えのない状態で水平方向に張り出すオーバーハングやブリッジの造形を苦手とします。こうした部分は慎重に設計し、必要に応じてサポートの追加を検討してください。

ディテールの細かさ。 3Dプリントでは優れた細部表現が可能ですが、極端に細かい形状はうまく造形できない場合があります。特に解像度の低い3Dプリンターでは、その傾向が強くなります。複雑な細部を簡略化するか、精細な造形にはより高解像度の3Dプリンターを使用してください。

サポート構造。 モデルにオーバーハングや複雑な形状がある場合は、造形中の垂れ下がりや崩れを防ぐため、サポート構造を追加する必要があります。サポートは造形後に取り外せますが、設計時に含めるか、スライスソフトで生成する必要があります。

プロのヒント。 造形を最適化して工程を短縮したい場合は、こちらの 3Dプリントを高速化する方法のガイド が参考になります。造形設定の調整から設計の変更まで、品質を犠牲にせず造形時間を短縮する方法はいくつかあります。

3Dプリント可能か確認する

モデルを書き出す前に、問題なく3Dプリントできる状態になっているか確認することが重要です。このステップでは、閉じていないエッジ、要素同士の交差、非多様体ジオメトリなど、造形失敗につながる一般的な問題をチェックします。

メッシュ修復ツールを使用する。 MeshmixerやNetfabbなどのソフトウェアでは、3Dモデルにある一般的な問題を自動的に検出して修正できます。これらのツールを使用すると、モデルを閉じた形状にし、3Dプリント時の問題につながる欠陥を取り除けます。

薄い壁や支えのない部分を確認する。 設計全体を確認し、3Dプリントするには薄すぎる部分や、追加のサポートが必要な箇所がないかチェックしてください。次のステップに進む前に、これらの部分を調整します。

使用する3Dプリンターに合わせて最適化する。 使用する3Dプリンター固有の性能や制約を考慮してください。たとえば、造形サイズが小さい場合は、モデルのサイズを変更したり、分割して3Dプリントしたりする必要があります。

モデルを書き出してスライスする

モデルが完成し、エラーがないことを確認したら、3Dプリントの標準形式であるSTLファイルとして書き出します。書き出した後は、スライスソフトを使ってモデルをスライスします。

  • スライスソフト。 スライサーはSTLファイルをG-codeに変換します。G-codeには、3Dプリンターがモデルを1層ずつ造形するために必要な指示が含まれています。代表的なスライスソフトには Chitubox、Cura、Slic3r、PrusaSlicerがあります。
スライサー設定のスクリーンショット
使用する3Dプリンターに適したレジンと造形設定になっていることを確認してください。 

造形設定を調整する。 スライサーでは、積層ピッチ、造形速度、インフィル密度などを調整して造形を最適化できます。たとえば、積層ピッチを小さくすると細部の表現が向上する一方で、造形時間は長くなります。インフィル密度を上げるとモデルは強くなりますが、使用する材料も増えます。

Phrozenのレジンを使用している場合は、最適な造形結果を得るために プロファイル を確認できます。 

造形をプレビューする。 多くのスライスソフトでは、造形を開始する前にプレビューできます。このプレビューでは、サポートの配置場所や各層がどのように積み上がるかを確認できるため、造形前に潜在的な問題を見つけられます。

3Dプリンターを準備する

G-codeの準備ができたら、3Dプリンターを準備します。適切な準備は、造形を成功させるうえで重要です。

ベッドへの定着。 プリントベッドが清潔で、適切にレベリングされていることを確認してください。ベッドへの良好な定着は、造形中にモデルがずれるのを防ぐうえで非常に重要です。ずれが発生すると、造形失敗につながる可能性があります。

温度設定。 使用する材料に合わせて、ノズルとベッドの温度を設定してください。たとえばPLAでは、通常、ノズル温度190-210°C、ベッド温度50-60°Cで良好に3Dプリントできます。

フィラメントをセットする。 造形を完了するのに十分な量のフィラメントがセットされていることを確認してください。また、造形中の送り不良につながる結び目や絡まりがないか、フィラメントをチェックします。

モデルを3Dプリントする

いよいよ設計したモデルを3Dプリントします。モデルの複雑さによっては、造形に数分から数時間かかる場合があります。この間は、すべてが順調に進んでいることを確認するため、造形の様子を監視することが重要です。

最初の層を確認する。 最初の層は造形で最も重要な部分です。最初の層がベッドにしっかり定着しない場合、その後の造形も失敗する可能性が高くなります。最初の数層を確認し、問題なく積層されていることを確かめてください。

問題がないか確認する。 造形中は、反り、押出不足、レイヤーずれなどの一般的な問題が発生していないか注意してください。時間やフィラメントを無駄にしないよう、問題が発生したらできるだけ早く対処します。

プロのヒント: 3Dプリントや後処理をより簡単にするツールを探している場合は、こちらの 3Dプリントに欠かせないツールのガイド をご覧ください。サンダーから仕上げ用ツールまで幅広く紹介しています。

造形物を後処理する

造形が完了したら、希望する仕上がりにするために後処理が必要になる場合があります。このステップは見落とされがちですが、プロ品質の仕上がりを得るうえで重要です。

サポートとラフトが付いた3Dモデル

3Dプリントが完了したら、サポートとラフトを必ず取り外してください。 

 

サポートを取り外す。 スライス工程で追加したサポート構造を慎重に取り外します。モデルを傷つけないよう、ペンチやナイフを使ってサポートを切り離してください。また、 Phrozen Sonic Saber のようなツールを使えば、跡を残さず効率よく、すばやくサポートを取り外すこともできます。 

研磨と仕上げ。 サンドペーパーや回転工具を使って、粗いエッジや積層痕を滑らかにします。特に塗装したり展示したりするモデルでは、この工程が重要です。

塗装。 モデルを塗装する場合は、塗料がしっかり定着するよう、まずプライマーを使用します。耐久性のある仕上がりにするにはアクリル塗料を使い、保護のためクリアコートを追加することも検討してください。

組み立て。 モデルを複数のパーツに分けて3Dプリントした場合は、接着剤や留め具を使って組み立てます。すべてのパーツが滑らかかつ確実に組み合わさることを確認してください。

3Dモデル設計の上級テクニック

3Dプリント用の3Dモデル作成の基礎を習得したら、設計や造形をさらに改善するための、より高度なテクニックを試してみましょう。

組み立てを考慮して設計する。 複雑なモデルの場合は、複数の小さなパーツに分割し、それぞれを個別に3Dプリントして後から組み立てる方法を検討してください。この方法により、造形品質を向上させ、必要なサポートを減らし、大型モデルも扱いやすくできます。

素材を選ぶ。 使用する素材は、完成品に大きな影響を与えます。PLAは3Dプリントしやすい一方で脆くなることがあります。ABSはより耐久性と耐熱性に優れていますが、より高い温度と良好なベッドへの定着が必要です。PETGは強度と3Dプリントのしやすさのバランスに優れ、TPUは柔軟性があり、曲げたり伸ばしたりする必要がある部品に適しています。

繰り返し改善する。 最初の造形が完璧でなくても、落胆する必要はありません。毎回の造形を、学習して設計を改善する機会として活用しましょう。少しずつ調整し、再度3Dプリントして結果を比較してください。これを繰り返すうちに、3Dプリント向けにモデルを最適化する方法を深く理解できるようになります。

高度な機能を試す。 基本的な設計と3Dプリントに慣れたら、設計ソフトやスライサーの高度な機能を試してみましょう。たとえば、特定の部分のディテールを向上させるために可変積層ピッチを使用したり、複数の素材や色を使ったモデルを作成するためにデュアルエクストルージョン方式の3Dプリンターを試したりできます。

3Dプリントのスキルを収益化する

3Dプリント用の3Dモデルを作成する方法を習得したら、そのスキルを収益化する方法を検討してみてもよいでしょう。3Dプリントで収益を得る方法はいくつかあります。

カスタムデザインを販売する。 オリジナルのデザインを作成し、EtsyやShapewaysなどのプラットフォームで販売します。ユニークでパーソナライズされたアイテムには常に需要があり、特にジュエリー、インテリア、ガジェットなどの分野で人気があります。

3Dプリントサービスを提供する。 信頼できる3Dプリンターを所有し、3Dプリント工程を十分に理解していれば、他の人に3Dプリントサービスを提供できます。自社で3Dプリンターを所有していない地域の企業、アーティスト、ホビーユーザー向けにモデルを3Dプリントするといったサービスが考えられます。

指導やコンサルティングを行う。 3Dモデリングや3Dプリントの経験が豊富なら、コンサルティングサービスの提供や講座の開催を検討してみましょう。3Dプリントに関心を持つ個人や企業が増える中、この分野の教育に対する需要も高まっています。

3Dプリントで収益を得る方法を詳しく知りたい場合は、こちらの 詳しい記事をご覧ください。

まとめ:3Dモデル設計を習得するための道のり

3Dプリント用の3Dモデル作成を学ぶことは、イノベーションや創造性、さらには収益化にまでつながる無限の可能性を広げる道のりです。これから始める初心者でも、スキルをさらに磨きたい経験豊富なデザイナーでも、3Dプリント用モデルの設計を習得すれば、アイデアを形にするために必要な手段を身につけられます。

3Dプリントで成功する鍵は、練習、試行、継続的な学習です。設計と3Dプリントを重ねるほど、適切なソフトウェアの選び方から、特定の3Dプリンターや素材に合わせてモデルを最適化する方法まで、工程の細かなポイントをより深く理解できるようになります。

高品質なモデルを探すなら Pixup3D を活用し、3Dプリント工程を最適化するためのヒントについては Phrozenの ブログ もぜひご覧ください。このガイドで得た知識とスキルを活かせば、3Dプリントのエキスパートへの道を着実に進んでいけます。